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~外食図鑑~ ミシュランの本場・フランスの食事情を知る人物が語る、「3つ星レストラン」「日本の飲食業」そして「これから」

代表取締役 阿部洋介

GZ 外食図鑑 2020 SPRING VOLUME05で弊社の紹介をして頂きました。

https://www.gaishokuzukan.com/

TOYO JAPAN 株式会社

代表取締役 阿部洋介

PROFILE

大学卒業後、酒類飲料メーカーで営業職を経験。その後ベンチャー企業の創業に参画。海外飲料ブランドのラウンチ、外食上場企業、フランスのケータリング会社、酒蔵、乳業会社の役員をつとめ、多数の国内外のMA実行部隊を経る。2015年JVを自ら創業し、銀座の老舗フレンチ、秋田の居酒屋店舗の事業承継を中心とした買収を行う。(2018年7月に退任)2017年TOYO JAPAN株式会社を設立し、2018年3月に日比谷ミッドタウンにて、Restaurant TOYO Tokyoを開業。学生時代は、法政大学アメリカンフットボール部の主将をつとめる。その後社会人のトップリーグでもプレーを続け、2002年、日本代表に選出。ドイツで行われた第2回ワールドカップに出場、2006年、オールXリーグにも選出された。

レストランの世界的な格付け『ミシュランガイド』とは

 2019年11月29日。『ミシュランガイド東京2020』が発売となり、首都圏を中心とした全国の書店に、赤い表紙の本が並べられた。

 アジアで初めてのミシュランガイドとして2007年に発行された『ミシュランガイド東京』は毎年更新され、最新の『2020』では464軒の飲食店・レストランと34軒の宿泊施設が掲載されている。このうち226軒が1つ星以上のいわゆる「星付きレストラン」。48軒が2つ星、そして11軒が、3つ星の評価だ。実は、東京は例年、世界一星の多い都市である。この獲得星数の多さについて、初めて日本版の発売に踏み切った2007年当時の総責任者ジャン=リュック・ナレは、こう語っている。「日本の料理人は、15年も20年も修業して伝統の技を受け継ぐ熱意を持っている。そんな国は、ヨーロッパにはどこにも残っていない。世界一の美食の都は他を大きく引き離して東京だ。2番が京都、パリは3番。日本は食べるだけの目的で行く価値がある国だ」と評している。

 そもそもミシュランは国際的に有名なフランスのタイヤメーカー。創業当時、ドライブには車の故障やパンクなどトラブルがつきものだった。そこで創業者であるミシュラン兄弟はタイヤの正しい使い方や修理法、各都市の駐車場や車の整備場、宿泊施設やレストランなど、ドライブに欠かせないさまざまな情報をまとめた冊子を作った。これが、ミシュランガイドの始まりである。この小さな冊子が、今では世界各国の飲食店・レストランや宿泊施設を紹介する「ミシュランガイド」へと進化したのだ。

 調査員は一般の客として来店し、その店の料理を客観的に評価する。ここから先は通説だが、1人の調査員が認めれば1つ星が付き、次に日本人と外国人、2人の調査員がやってくる。この2人が認めれば2つ星。そのレポートは最終的な星の数を決めるスターセレクションと呼ばれる会議に持ち込まれ、この後3つ星の調査員2名が店を訪れ、最終的な評価を行うこととなる。

 今日、この冊子に掲載されるだけでも、レストランにとっては大きな栄誉だ。1つ星は「その分野で特に美味しい料理」。2つ星は「極めて美味であり遠回りをしてでも訪れる価値がある料理」。そして最高峰である3つ星は「それを味わうために旅行する価値がある卓越した料理」と定義されている。

 3つ星を与えられたレストランは多くの客を集め、経営者やシェフはマスコミ
に取り上げられることとなる。また、食品や食器の製造企業とのスポンサー契約なども見込めるなど、大きな名誉と実利が伴うものであり、飲食店にとってその価値は、まさしく、計り知れないものであるといっていい。

3つ星レストランとはいったいどのような存在であるのか

 日本に僅か11店舗しかない、3つ星レストラン。それを決める、ミシュランの評価基準は、次の5つだ。

・素材の質

・料理の技術の高さ

・独創性

・価値に見合った価格

・料理全体の一貫性

「3つ星のレストランは、他の店とは格が違います。ふらっと入るような気持ちで行くようなところではなく、よほどの資質と風格を持った人だけが行けるお店。お金さえあれば誰でも行けるところではありません」

 そう語るのは、2018年月に日比谷ミッドタウンにて、R e s t a u r a n t TOYO Tokyo(以下レストラントヨトーキョー)を開業したTOYO JAPAN株式会社代表取締役・阿部 洋介氏だ。ミシュランガイドの本場、フランス・パリの16区――日本で言えば渋谷区の広尾にあるような高級住宅街に住み、飲食に携わる仕事を長年続け、さまざまなフランス料理や世界のレストラン事情にも精通している人物である。「星のあるお店というのは、そのお店ごとの世界観を持っていると思います。そしてまた、脈々と続いている。”血統”も持ち合わせているのが、星付きのお店の特徴ではないでしょうか。それゆえに、フランスの3つ星レストランなどは簡単に行ってはいけないような感じであると、フランスにいればいるほど感じます」

  2019年末、人気を博したTBSのドラマ『グランメゾン東京』。その物語の根幹をなす技術部分の監修を、TOYO JAPAN株式会社は行っている。パリから日本に進出してきて、実際に都内にお店を出店するプロセスの部分や、主人公のシェフとしてのエピソードなど、ドラマに与えた影響は少なくない。その阿部氏が東京・日比谷にオープンさせたのが「レストラントヨトーキョー」である。ここでシェフとしてその腕を振るうのは、若手の再注目株とされる大森雄哉氏だ。阿部氏のみならず、周囲からの注目や期待も大きい。

これから先の時代は、本気でやっている所しか残らない 中途半端じゃなくて自分たちの世界観を作ることを目指すべき

世界的に評価の高い日本の飲食業 獲得した星の数は世界の都市随一

 フランスに住んだ経験や、その他の国のMA、海外ブランドのラウンチを手掛けてきた人物から見て、日本の飲食業はどのように映っているのだろうか。「コストパフォーマンスがいいという観点で、評価される気はしています。例えばディナーが3〜4万したとしても、世界的に見れば安いほう。その点日本は、ある程度高級とされるお店でも、ディナーコースは2万円程度。そこが優れているところなんじゃないかと思いますね。ただその一方で、それこそ世界のレストランは唯一無二のロケーションで、その場所に価値があるような歴史的な遺産的建物の中で最高級の料理を提供するところも少なくなく、さすがに敵いません。日本の料理はコスパという意味では評価されると思いますが、京都のごく一部のお店などを除けば、スーパーハイエンドに対しては通用しないと思います」

 その一方で日本が特徴的なのは、年収が高い人であっても、必ずしも外食は高級店だけというわけではなく、庶民的な蕎麦屋でも食べることだと、阿部氏は指摘する。「何が言いたいかって言うと、これから先の時代は、本気でやっている所しか残らないって思うんです。料金の安い回転寿司が駄目っていう話ではなくて、回転寿司は回転寿司として本気でやっているじゃないですか。その一方で、料理人を使うところはまた本気でやっていますし。いずれの場合でも、中途半端じゃなくて自分たちの世界観を作ることを、本気でやっているところじゃないと残らないかなって思っています」

 そしてまた、新しくオープンする店舗に対してもこのように語る。「歴史あるお店に関しては積み上げてきたものがあるのでITとかデジタルとか言わなくていいんですけれど、新たに参入してきたところに関してはやはりテクノロジーとデジタルを使いこなさないといけないと思っています。この先10年も経てば予約の取り方も変わりますし、集客の仕方もデバイスも変わるじゃないですか。だからそこはちゃんと向き合わないといけないと思います」

 後発の店舗であるなら、時代に合わせた技術を使ってアピールや集客をしなくてはならないということだ。そしてまた、世界的に見ても日本が星付きレストランの多い理由については「日本はどんどん進化しているからだ」と言う。「その進化は世界のどこよりも早いですね。それは流通が発達しているからというのがひとつと、新規に参入する障壁が諸外国に比べて低いということがひとつ、そして情報化社会でもあるため、色んな手段が使えることにもあるのです」

  世界的に評価の高い、日本の飲食業。それゆえに星の数も多く、ドラマ『グラ ンメゾン東京』において、主人公の尾花シェフも貪欲に「3つ星」を狙う。しかし決して、阿部氏のプロデュースによるレストラントヨトーキョーがそうだというわけではない。その星を獲得することは大きな勲章に違いないが、それはゴールではなく偉大な通過点でしかないのだ。

 飲食業とはつまり、料理を運んでお客様に喜んでもらう仕事だ。それは、政治家のように世の中を変える力を秘め、芸術家のように感動を生み出し、医者や弁護士のように人を救うこともできる仕事だと言っていい。そして、そのことを知っている料理人は皆、自らの仕事に対して誇りを持っているに相違ない。

 料理には人を動かす力があるという。その力を秘めた味を求め、今日もレスト ラン トヨ トーキョーには多くの人々が詰 めかけている。

店内

TOYO JAPAN 株式会社

 

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